アメリカ生活の最初に知っておきたかった5つのこと
渡米したばかりの頃は、目の前の手続きを終わらせるだけで精一杯でした。
住まい、銀行、携帯、学校や仕事、保険。今日必要なものをそろえるうちに、半年後、一年後の自分に必要な準備は後回しになります。
短く滞在するつもりで来た私たちも、結果として長く暮らすことになりました。振り返ると、最初に知っていれば避けられた遠回りがあります。
留学生でも、仕事で来た人でも、家族として来た人でも使える形で、5つに絞りました。
1. 自分名義のクレジット履歴は、早めに育てる
アメリカでは、賃貸、クレジットカード、自動車ローンなどでクレジット履歴を確認されます。履歴がないことは、悪い履歴があることとは違います。それでも、貸す側から見ると判断材料が少ないため、選択肢が狭くなることがあります。
ここで注意したいのは、銀行口座を持つことや、公共料金を自分名義にすることが、通常のクレジットカードと同じように必ず信用情報へ積み上がるわけではないことです。
履歴づくりの入口には、たとえば次があります。
- 自分名義で申し込めるクレジットカードを使い、期日どおりに払う
- 通常カードが難しければ、デポジットを預けるsecured cardを検討する
- 信頼できる人のカードにauthorized userとして追加してもらう
ただし、secured cardやauthorized userの情報をどの信用情報機関へ報告するかは発行会社によって違います。申し込む前に確認してください。authorized userは、元の口座の支払い状況にも影響を受けます。
Consumer Financial Protection Bureauも、secured cardなどを信用履歴づくりの選択肢として案内しています。条件と費用はCFPBの公式案内で確認できます。
大きな残高を抱える必要はありません。使った分を期日どおりに払い、可能なら毎月全額を払う。小さく、長く続けるほうが大切です。
2. 運転しなくても、州発行IDを早めに検討する
車が必要な地域では、運転免許を後回しにすると、通学、通勤、買い物、通院の選択肢が一気に狭くなります。
一方、大都市では車を持たない人もいます。それでも、パスポートを毎日持ち歩かずに済む州発行の身分証明書があると便利です。運転しない人向けには、州のDMVなどが発行するnon-driver IDという選択肢があります。
必要書類、試験、予約、SSNを取得できない場合の代替書類、日本の免許からの切り替えは州ごとに違います。学生や扶養家族では、在留資格を示す追加書類を求められることもあります。
日本語ブログの持ち物リストより先に、自分の州のDMV公式サイトで次を確認します。
- Driver licenseとnon-driver IDのどちらが必要か
- 身元、在留資格、州内住所を示す書類
- SSNを取得できない人に必要な書類
- 予約の有無と、筆記・実技試験の条件
州をまたいで引っ越したときも手続きが必要です。「アメリカの免許を持っているから終わり」と思わず、新しい州の期限を確認してください。
3. EOBと医療機関の請求書を分ける
病院へ行った日にcopayを払っても、それが最終金額とは限りません。
保険を使った診療では、後から保険会社から EOB(Explanation of Benefits) が届くことがあります。EOBは、医療機関から請求された額、保険プランが認めた額、保険会社が払う額、自分の負担見込みを示す説明書です。
EOBは請求書ではありません。 支払いは、医療機関から届く請求書とEOBを照らし合わせてから行います。複数の医療機関が関われば、EOBや請求書が分かれて届くこともあります。
CMSの公式案内も、EOBと請求書は別物だと説明しています。
受診日ごとに、次を一緒に残しておくと確認しやすくなります。
- 受診時の領収書
- EOB
- 医療機関からの請求書
- 支払い記録
金額や処置に覚えがなければ、支払う前に保険会社か医療機関へ問い合わせます。明細が足りなければ、itemized billを依頼できます。
4. 滞在期間が決まっていなくても、今いる場所で生活をつくる
「卒業したら帰る」「任期が終わったら帰る」「次の仕事が決まるまで」と思っていると、今いる場所を仮住まいのように扱いがちです。
私たちも短い滞在のつもりで来ました。でも、予定は変わりました。
帰国するか残るかが決まっていなくても、今日の孤立は今日の生活に影響します。大学のinternational office、図書館のESL、地域のクラス、趣味の集まり、ボランティア、同じ言語を話す人のコミュニティ。入口は一つで十分です。
無理に人脈を広げる必要はありません。週に一度、名前を知っている人に会える場所をつくるだけでも、生活は少し変わります。
滞在が一年でも十年でも、いる間は「住んでいる」。将来を決めてから生活を始めなくていいのだと、もっと早く知りたかったです。
なお、在留資格によってはボランティアと無許可就労の区別が問題になります。通常は有給の役割を無給で行うような活動を自己判断で始めず、F-1ならDSO、J-1ならResponsible Officerなどへ事前に確認してください。
5. 公式書類は、紙とデータの両方で残す
アメリカ生活では、受け取ったときより後になって重要性がわかる書類があります。
- パスポート、ビザ、I-94、Form I-20、DS-2019、EAD、各種申請の控え
- W-2、1099、税申告書と提出記録
- 賃貸契約、保険、車に関する書類
- 医療費の領収書、EOB、請求書
- 学校の在籍・成績・予防接種記録など、自分に関係するもの
すべてを一つの箱へ入れるだけでも、捨てるよりは安全です。ただ、長く暮らすなら検索できるデータもあると助かります。
スマートフォンで撮影またはスキャンし、年-月-日_機関名_書類名のような名前を付ける。原本が必要な移民書類や身分証明は紙でも保管する。住所変更後もアクセスできる個人の保存先を使う。
保存期間は書類の種類で違います。税務書類はIRSの記録保存案内を確認し、移民・学校・医療などは発行機関や専門家の案内に従ってください。
「意味がわからないから捨てる」ではなく、「意味がわかるまで保留」にする。それだけで、後から取り直せない書類を失うリスクを減らせます。
おわりに
この5つは、渡米初日に全部終えるチェックリストではありません。
クレジット履歴を小さく始める。自分の州のIDを調べる。EOBと請求書を分ける。今いる場所に一つだけ接点をつくる。公式書類を残す。
今日できるものを、一つ選べば十分です。
アメリカ生活では、後から効いてくる準備がたくさんあります。最初の忙しい時期に、未来の自分のための小さな作業を一つだけ混ぜておく。それが、いちばん現実的な始め方でした。